ハウテレビジョンブログ

『外資就活ドットコム』『Liiga』『Mond』を開発している株式会社ハウテレビジョンのブログです。

新規事業を支えるマーケティングオペレーション属人化防止・脱却のための取り組み

この記事は HowTelevision Advent Calender 2023 の17日目の記事です。16日目は我らがCOOである池内さん (id:ds4white) による経営陣が採用にコミットするということ - ハウテレビジョンブログでした。

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知見共有プラットフォーム Mond のグロースチームでマーケティングを担当している id:l0ibuism です。

Mondのグロースチームでは、サービスを進化させていくために、毎日複雑で大量のマーケティング・オペレーションにチーム全員で取り組んでいます。成長のためにやるべきものがたくさんあることはいいと思う反面、リリース後間もないプロダクトではあるのですが、いつの間にかマーケティング施策やオペレーションの属人化が進んでしまっていると感じていました。このような問題に困っている人は結構いるのではないでしょうか。(当チームでもまだ完全に解決とまではいけてませんし、絶賛困ってはいます)

この記事では、チームのマーケティングやオペレーション属人化の防止・脱却を中心に、これまでやってきてよかったこと、うまくいったマインドセットなどについて書きます。

課題

Mondでは、サービス運営に不可欠なマーケティング施策とオペレーション業務の多様化に直面していました。具体的には、キャンペーンマーケティングの実行・管理、メルマガの効果的な配信の分析、ユーザーフィードバックへの迅速な対応、デイリーKPIの分析、さらにはマーケティング予算の管理など、業務の範囲は広範にわたります。またこれらの業務を遂行するために、TablePlusRedashなどのデータベースアクセスツール、GA4Looker Studioを活用し、IT技能を駆使する必要がありました。私たちのチームは特段ITの専門家集団というわけではなかったため、ツールの使い方を学びながら施策を実行していくことが求められました。

この過程で浮き彫りになった主要な課題は、次の通りです。

マーケティング施策・オペレーション実行や、それによって生まれたインサイトの個人への集中

個々のチームメンバーが特定の業務における深い知見を持つ一方で、それぞれが個人に依存する傾向にありました。これは、チーム全体としての柔軟性とサービスの成長に制限を与えるものでしたし、特定メンバーへの過度な負担を生んでいました。また、施策から得たインサイトもその個人に集中していたために、議論が進まず、サービス成長のための本質的なタスクに取り組めない、などの問題もあがりました。

「なんとなく」での施策実施による、応用性の低さの露呈

マーケティング施策を進める際に、チーム全体の認識のずれと議論の不足が顕著な課題として浮上していました。この結果、施策の具体的な目的や実施背景が明確に伝達されておらず、個々のチームメンバーが施策の意図を十分に理解していないこともありました。具体的には、特定のメンバーが不在の場合、他のメンバーでも表面的には施策を遂行できるものの、その業務を行う目的や背景知識が不明確であるため基礎理解が薄く、方針の変化に迅速に対応できなくなっていました。

この問題の背景には、「なんとなく」の理解のまま業務遂行をしてしまったことがあります。これにより、施策の応用性が低下し、チームとしての柔軟な対応能力に制限がかかってしまっていました。マーケティングの世界では、市場や顧客のニーズが常に変化するため、戦略の柔軟な調整と、戦術への適用、そして施策へ応用していくことが不可欠だと考えます。

マーケティング指標の統一性の欠如

Mondチームではそれぞれが異なるオペレーション業務を担当しており、その結果として、チーム全体の焦点が分散、各メンバーが異なるミクロな指標に注目してしまっていました。この状況では、それぞれが細かい部分に囚われ、長期的な視点でサービスを改善するための統一された指標に集中することが困難でした。

どんな方針で解決しようとしたか

方針自体はとてもシンプルで、当たり前ともとれるものでした。

  • 全員が必ずそのオペレーションを数回やるようにする。全員を巻き込む。必ず一番最初に長い時間をとって、基礎的なところの理解を促進する
  • 統一のITツールを必ず導入してもらい、必要なら別途エンジニアと話す機会も作り、SQLやRedashなども使えるようにしてもらう
  • それでもわからない場合は、別の時間をとってやり方を話しながら時間をかけて理解をする時間を作る

実際のアプローチとその結果

結論落ち着いたのは、意識的に基礎への理解の時間を初めにたっぷりと取ることでした。従来は、マーケティング施策やオペレーションをする中でやりながら覚えていく方式をとっていましたが、逆に一番初めに理解できるまで議論するようにしました。例えば業務委託の方と一緒にオペレーション業務を進める時には、理解できるまで何回もmtgを開きました。長い時では、3時間くらい一緒にオペレーションを回してみて、とにかく理解に徹しました。誰でもできることなのですが、意外とサボりがちだと感じています。

また、マーケティングの成果指標(KPI)についても、日々の朝会で詳細にレビューし、各数値がどのように形成されたのかをチーム全員で議論しました。このプロセスにより、データからの洞察の重要性がチームに吸収されたように感じます。

さらに、ブランド担当者やエンジニアと共にデータ環境を構築し、日々のオペレーションにおいては、業務委託者に対する詳細な説明を徹底しました。このアプローチにより、チームメンバー全員が、たとえばSQLの使用やスプレッドシートを用いたインサイト抽出など、基本的なITスキルを身につけている状態となりました。

基礎理解が進んだことにより、その後の応用の話にもついて行ける人間がチームに増えたように思います。

結果として、マーケティングや基礎オペレーションへの理解の高まりが、全体の生産性向上に寄与したと思います。はじめの理解にはかなり時間がかかるのですが、全員の応用性が上がったため、誰でも深い基礎知識を持ちながら施策を実施できるようになりました。毎日目まぐるしく変わる戦略にも、全員でなんとか食いついて行けるようになりました。

まとめ

意識的にも無意識的にも、上記のようなチームへのマーケティング・オペレーション施策の標準化が吸収された結果、少しずつですが属人化による諸問題が解消されつつあります。

現在では、社員はもちろん、業務委託、インターンの方もみな意味をもってオペレーションを回すことができる環境が整い、全体の生産性が上がっているように思います。

これらに取り組めている背景には、やはりITに疎くても必ず時間をとって理解させてくれるチーム、メンバーがいたからだと思います。今ではチームのほぼ全ての人がデータベースにアクセスできます!基本的なマークダウン、つまり記号で階層構造をつくり、データ構造化することもわかるようになっています!

これは社内全体に浸透し始めている雰囲気です。詳しくは 5日目の id:keiichiro_maejima によるエンジニアへの理解溢れるカルチャーとは? - ハウテレビジョンブログ、14日目のid:nawajie によるハウテレビジョンの事業を支えるデータ基盤 - ハウテレビジョンブログに書いてあります。よろしければ見てみてください!

今週は方針これ!今日はこういうの作って!今からの時間はこれやろ!に次々に対応できるこの光景は、並みの会社では出会えなかったのではないかと思います。

最後に

Mond含め、当社には他にもやるべきこと、改善の余地がたくさんあります。今入社するのが一番エキサイティングかもしれません。

冒険と挑戦が好きな方、ぜひ入社をご検討くださいませ。

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