ハウテレビジョンブログ

『外資就活ドットコム』『Liiga』『Mond』を開発している株式会社ハウテレビジョンのブログです。

ハウテレビジョンのロジカルコミュニケーション研修、特に"刑事の思考法"について

この記事は、 HowTelevision Advent Calender 2023 の13日目の記事です。12日目はid:simisinさん の「なぜ人が増えると仕事も増えるのか。或いはコーポレート部門の業務システムの変遷について」でした。

はじめに

ハウテレビジョン人材戦略部のid:sumire_howです。 先月、エンジニアの皆さんを対象に、仕事を楽しく効率的に行うためのロジカルコミュニケーション研修を実施しました。 今日はその研修の一部分である、"刑事の思考法"(仮説思考)に関する箇所をご紹介します。

私見ですが、職種関わらず、”刑事の思考法”を習得することは、下記のような利点があります。

  • ①決断が早くなる
    • 最低限の時間で意思決定ができるようになりそう
  • ②コミュニケーションの質が上がる
    • 効率よく生産性の高い会話ができそう
  • ③中長期で直感が磨かれる
    • 直感的な判断の精度が高いのみならず、多方面に”肌感”がある、ビジネスセンスのよい人(エンジニア)になれそう

プロフェッショナルを養成したい、新卒研修

上述の研修は、もともと新卒向けに作成した研修をリバイズしたものです。そのため、新卒研修の話からお伝えします。

ハウテレビジョンは毎年数人、少数精鋭でエンジニア新卒を採用しています(2023年で3期目)。技術的なバックグラウンドや目指すキャリアから逆算した目標が個々人で異なるため、メンター社員が個別に育成プランを考え、それに即したOJTを実践しています。

一方で、上記以外に、ビジネスも含めた様々な観点で「プロフェッショナル」となっていただくための研修を別途行っています(2023年は全30講義程度実施)

2023年新卒育成研修プロジェクトページの一部
当社に入社いただく新卒の方の多くは、難関企業の内定を辞退してハウを選んでくださっています。「有名な企業の切符を手にしながら、ハウテレビジョンに入社いただいた方を後悔させたくない」「技術面に加えてビジネス面でもプロフェッショナルとして、総合的に市場価値を高めていただきたい」という思いで、社員が研修を作成しています。

以下は今年度の研修の一部です。

  • エンジニアとしてのマインドセット
  • セルフマネジメント
  • 人を動かす難しさ
  • 営業・酒席のマナー
  • ロジカルコミュニケーション研修

汎用性が高いロジカルコミュニケーション

さて、私はそんな新卒研修の中で、ロジカルコミュニケーション研修を担当しています。

この研修はもともと、「エンジニア・セールス・マーケティングといった多様な職種の新卒が共通して活用できるほど汎用性があり、かつ業務にすぐに役立てられ、中長期的に市場価値を高められるような研修コンテンツは何だろう?」ということを考える中で作成しました。その時、ヒントとしたのは、コンサルティングファームの思考法です。

コンサルティングファームでは、共通言語のように、ロジカルシンキング・コミュニケーションが徹底され、それが高い価値を生んでいます。加えて、超人的な言語化能力を持った先人たちが作り出した『イシューからはじめよ』だとか『考える技術・書く技術』だとか『ロジカルシンキング』といった書籍がバイブルのごとく共有されていることもあり、ロジカルシンキング・コミュニケーションは一定、後天的に習得可能な体系となっているのです。

自分自身、ロジカルシンキングをマスターしているとはとても言い切れず、上記の本を読み返しては反省している身ではあります。それでもこの技術やこつを一定学んだことで仕事の仕方は劇的に変わりましたし、完璧でなくても他者にエッセンスを伝えることはできるはず、と開き直り。

研修の一部

「ロジカルシンキングを体系的に学ぶ」ことよりも、そこから導かれるフレームワーク・こつを知り、日常業務で即座に実践できるようにすることを目的に置きました。そのうえで「自分が新卒一年目の時に知っておきたかった」と思う各種の思考法、コミュニケーション技法を、ハウテレビジョンの実際の業務の各場面に即したTipsに落とし込む形で、研修を作成しました。

一流の刑事の思考法と、コンサルの仮説思考

そのようにコンサルタントの考え方を基盤に作成した一連の研修の中で、唐突に"刑事"が登場するパートがあります。そのパートは、かつて私が学び、今でも日々活用している"刑事の思考法"を知ってほしいという思いから作りました。

私は、もともとメディアの業界で事件報道に携わっており、その際、一人のベテラン事件捜査官に出会いました。その刑事は一人で難事件を何件も解決し、『天才』『神がかり』と呼ばれていました。

誇り高く情に厚いプロフェッショナルの刑事にほれ込んだ私は、彼のもとに通いつめ、時には捜査のまねごとも行うように。そんな中で、徐々に彼が「考え抜くことで事件を解決に導く」独特の思考法を持っていることに気づきました。

その後、私はビジネスの業界に身を置くようになり、優れたコンサルタントの思考パターンが、彼と似通っていることにふと気づきました。 特コンサルティングファームなどで「仮説思考」と呼ばれているものに(私の視点では)非常に類似していました。

大石 哲之『コンサル一年目が学ぶこと』の「仮説思考」の説明より引用。こちらでも、仮説思考の体現者として事件捜査官が例示されています

刑事の思考法(≒仮説思考)のポイント

私の感じる、刑事の思考法(≒仮説思考)のポイントは下記です。

  • 実際の捜査(リサーチやコミュニケーション)をする前に、「こういう結果になりそうだ」という仮説を具体的に持つ
    • 多くの人はリサーチ後に仮説を持とうとする。慣れない領域で、わからないことを調べる場合でも、無理やり先に、なるべくスタンスをとった仮説を持つ
      • 例「犯人の気持ちなんて全然分からないけれど、いま持ちうる限りの情報で想像してみよう…自分が犯人ならこの方向に逃げる」
  • 実際に捜査(リサーチ・コミュニケーション)を行い、仮説を検証する
  • 仮説が当たっていた場合ないしそうでない場合、それぞれその理由を考え、次回の仮説に生かす
    • 最初の仮説があてずっぽうでも、この検証を繰り返すことで”肌感”のレベルがあがる(リサーチした後に仮説を持っても、肌感のレベルはあがらない)

エンジニアの方の場合、テストなど、慣れている領域は当たり前のように仮説をお持ちであることが多いと思いますが、例えば、「まったくジャーニーがイメージできていない属性のユーザーに対してヒアリングをする際、ヒアリング結果の仮説を先にたてる」とか「最近急成長しているが、実態がよくわからない競合プロダクトのリサーチをする際、そのSWOT(Strength, Weakness, Opportunity, Threat)について先に仮説を持っておく」といった使い方ができると思います。

※コンサルタントの仮説思考をより深く学びたい方には、元ボストンコンサルティング グループ日本代表・内田和成氏の『仮説思考』を、刑事の思考法をより深く学びたい方には、第62代警視庁捜査一課長・久保正行氏の『君は一流の刑事(デカ)になれ』をお勧めします。

まとめつつ募集中

ということで、ハウテレビジョンでは新卒に、メンターと二人三脚のOJTに+αの研修を行っていますし、中途の方にも受けていただける機会があります。 手弁当でまだまだ改善の余地はありますが、「プロフェッショナルとなっていただきたい」という強い思いで行っています。

そんなハウテレビジョンに少しでも興味がある方は、お気軽にお声がけください!