この記事は HowTelevision Advent Calendar 2024 25日目の記事です。 qiita.com
1.はじめに
ハウテレビジョンでコーポレート部門を担当している、id:simisin です。 今回は、知られざるハウテレビジョンにおけるコーポレート周りの取り組みについてご紹介します。
2.コーポレート部門の概要
全社では37名(2020年1月末)だった社員が、78名(2024年12月1日現在)まで成長してきました。 うちコーポレート部門の社員は約10名であまり変わっていません。
内局
コーポレート部門は、以下の4つの機能型組織からなっています。
- 財務・経理部
- 法務・総務部
- 人事部
- コーポレートIT部
昨年ご紹介したエントリーの通り、会社の成長に伴い業務が激増する中で、業務効率化により残業時間を劇的に減少させ、みなし残業時間の半分程度の水準を維持できています。
一方、事業成長に伴い高度複雑な事案が増加していることから、質の面での強化を企図し、インハウスの日本法弁護士・公認会計士を増員募集中です!
外局
また上記のコーポレート部門とは独立した経営直下のチームとして、以下の3つの組織が設置されています。
- 人材戦略部
- 経営戦略室
- 内部監査室
それぞれ経験豊富なマネージャーが配置され、採用/M&A/ガバナンスなど経営と一体不可分な業務を意欲的に推進しています。
3. コーポレートの2024年の取り組み
2024年は、M&Aや新設分割・吸収分割など様々なコーポレートイベントが盛り沢山でしたが、今回はあえてニッチな人事労務領域における取り組みについてご紹介したいと思います。
4. 人事システムの統合
2024年は、念願の人事周りのオペレーションとシステム統合が叶った年でした。統一バンザイ!
2020年頃
弊社では2020年頃は、
- 入退社手続(SmartHR)
- 勤怠(King of Time)
- 給与計算(社労士)
- 給与明細(ネットde顧問)
- ワークフロー(rakumo)
がそれぞれ別のシステムでした。 社員は個々のシステムに個別のID/Passを作成して使い分けねばならないというイケてない状況で、また労務管理者は、全社員分のID発行管理しなければならないという煩雑さでした。
2022年頃
上記が2022年頃にかけて
- 入退社手続(SmartHR)
- 勤怠・給与計算/明細・ワークフロー(freee人事労務)
にまで整理統合されてきました。
2024年前半
そして最後に残ったラスボスが、SmartHR と freee人事労務 でした。
SmartHR と freee人事労務 の2つに、同じ社員情報を入力して人事マスターを構築し、二重管理するのは、明らかに無駄な工数でした。
しかし、freee人事労務では SmartHRのような柔軟な電子契約書類の生成・出力が長らく実現していなかったことから、2度ほど移行を試みたものの、断念して並行運用を続けていました。
どっちにするの?
両プロダクトのDB設計の違いや微妙な関係性もあり、マスターの自動Syncも当然ながら微妙に使いづらく(Overrideして欲しくないレコードまで一括インポートで上書きされるなど)、当社は二者択一を迫られました。
どちらも一長一短であり、SmartHRに統合することも試みましたが、当社は会計側でfreeeを入れており、経費精算やワークフローもそちらで管理している点などを考慮すると、現実的な選択肢は、freee人事労務への移行でした。
そんなfreee人事労務 x freeeサイン の連携が実用水準に達し、本番運用に耐えうる状態まで環境構築とテンプレートを作り込めたと判断されたのが、2024年8月でした。
あの人に届け、給与改定通知
弊社は1月決算ですが、原則年2回(7月末、1月末)の人事評価と給与改定機会があります(一定グレード以上の役職者等は年1回)。
この給与改定通知は、従来はSmartHRで生成して飛ばしていたのですが、入社時に登録した社員プライベートアドレスに飛んでしまうこともあり(←入社手続の段階では社員メールがないが、メールアドレスがunique keyという罠)、労務担当者からの @channel メンションにも関わらず、社員の開封率が非常に低いことで有名でした。
そんな中、ちょうど上半期評価が終わり給与改定通知を発行する8月末のタイミングで、freee人事労務側の変数を参照しfreeeサインから労務文書を生成する環境構築が完了し、記念すべき第一号の2024年8月28日には、何十通もの給与改定通知が(電子的に)飛び交いました。
脅威の開封率100%
想定だにしなかったことですが、(プライベートアドレスではなく)会社メールへの通知のためか、UI/UXの親和性のためか、はたまた自動リマインド機能のせいか、明瞭にファクター分解できていませんが、かつて開封率10%程度だった給与改定通知が、移行後は初となる脅威の開封率100%を記録しました。
ついでに各種労務文書も電子化
上記に付随して、退職願、無期転換意向確認書、入社承諾書、など一部で紙が残っていた手続き・書式についても、ペーパーレス化を行いました。 現時点で紙が残っている書式(移行作業中)は、厚生労働省フォーマットの「出生時育児休業申出書」などくらいです。これもいずれペーパーレス化するつもりです。
テンプレ職人はフォントにもこだわり
加えて、もうこの際、徹底的にuser-friendlyにやってやろうと思い、すべての文書はフォントやフォントサイズ、全角/半角を統一して読みやすくしました。
正社員/契約社員/インターン/その他 x 管理監督者/非管理監督者 x 各子会社で、計40種類くらいあって煩雑だったテンプレート文書を、「社員でもインターンでも、退職時秘密保持誓約書の中身は同じだよね?」といった感じで、パンデクテン方式風に、共通部分は統合して同じテンプレートにして、個別部分は切り出して別テンプレートにして、とまとめたら、最終的には計18種類にまで減りました。
テンプレ職人は下記の仕上がりにもこだわりました。
- 人事マスターDBから取得可能な情報は可能な限りユーザーに手入力させない(氏名も住所も)。ユーザーが入力するのはDB登録する入社初回手続きの一回だけ!
- 社員に入れさせるのは極力、日付と電子押印だけにする
最高のユーザー(従業員)体験で入社をお出迎え
特にユーザー体験が向上したのではないかと思っているのが、入社時の共有テンプレートです。 従来は、雇用形態を問わずハウに入社する方は、下記4通の契約書を電子締結する必要がありました。
- 労働契約書兼労働条件通知書
- 従業者の個人情報取扱いに関する同意書
- ハラスメント防止に関する誓約書
- 貸与品の取り扱いに関する誓約書
これだと、最低でもメールボックスに4通届き、各文書に、日付/氏名/住所/電子押印の4項目 (計16箇所)入力するので面倒くさいです。入社書類でなかったらユーザーが離脱しかねません!
どうすればいいか? ということで、ユーザー入力項目が共通で、同趣旨のものが3通あった誓約書を「3点セット」として1つのPDFにまとめました。
- 労働契約書兼労働条件通知書
- 共通入社時3点セット(個人情報取扱同意書 / ハラ防誓約書 / 貸与品取扱誓約書)
さらに入力項目も、ユーザーサイドでは日付と電子押印だけ! 最低2通で入社手続き完了で、回収漏れもなくなりました。
↓(人事労務)はDBから自動入力。(手入力)は人事入力 ↓ユーザー(従業員)は締結日と電子押印を入力するだけ
5. 人事オペレーションのアウトソース活用
電子化からの、さらにはアウトソース活用
さらに2024年11月1日には、一部業務について、freee人事労務アウトソースへの委託を進めました。
弊社は社員は80名程度ですが、学生インターン(短期を含む)が多く在籍しており、年を通じては延べ300名程度の入退社があります。
この入退社手続きを労務1名でこなしていたのですが、単にシステム導入・効率化で終わりではなく、更に一本進んで、入退社~給与計算のプロセス(原証憑の回収とfreee人事労務への入力確認作業)についても、丸ごとfreee人事労務アウトソースに委託し、年間延べ入退社が3,000件になっても1人で回せる仕組みづくりを行いました。
高付加価値に専念
当初は、「労務プロフェッショナルを増員して対応する」という対応も検討しましたが、ワークフロー化してアウトソースできる作業については、外部に任せることで、労務プロフェッショナルはより高度な判断を要する事案に専念できるようにしました。
例えば、就業規則の統廃合、くるみん認定の取得、変形労働時間制の検討、非居住者を採用可能な社内文書の整備などなど、日次のオペレーション以外にもやるべきことは多くあります。
募集中
なおこれにて終わり!ではなく、まだまだやるべきこと、株式会社ハウテレビジョンの生産性向上の旅は続きます。
一部業務では、失われた古代技術が使われているとの目撃情報もあり、冒険と挑戦の余地があります。
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