ハウテレビジョンブログ

『外資就活ドットコム』『Liiga』『Mond』を開発している株式会社ハウテレビジョンのブログです。

プロダクトマネージャーがChatGPTを使い倒してみた

はじめに

現在ハウテレビジョンで外資就活ドットコムという挑戦志向の学生向けの就活(キャリア)支援プロダクトのPdM(プロダクトマネージャー)とプロダクトチームのマネージャーをしております。

習うより慣れろ、ChatGPT の Slack への導入で詳しく記載していますが、ハウテレビジョンでは全社にChatGPTを導入しました。

Slackに部門別にChatGPT API を呼び出す bot を用意して、全社員が利用できる状態となっております。

私自身も様々な業務シーンでChatGPT APIを使い、一部の業務では感動するレベルで生産性が高まったと強く実感しています。

本記事では具体的にどういう業務で活用しているかを紹介できればと思います。

私と同じプロダクトマネージャーの方やそうでない職種の方に一つでも参考になれば嬉しいです。

実際にどういう使い方をしているのか

具体的な業務例をあげながらどのように活用しているかを紹介いたします。

1. 調査やリサーチ、インプット系の業務

個人的には従来よりも滅茶苦茶生産性が上がりました。

体感ベースですが1/5くらいの時間で従来のアウトプットが出せるようになりました。

プロダクトマネージャーとしてプロダクトの方針や戦略を考えるにあたり、様々な観点での調査やインプットが必要になってきます。

実際に最近業務で行ったものを例にあげます。生成AIがむこう5年で社会や採用市場にもたらす影響を調査しました。

コンサルティングファームのレポートやAIで著名な研究者の方、官公庁など様々な情報ソースをまずは取得し、その内容をChatGPTに要点をまとめてもらいました。

例.マッキンゼーが出した生成AIがもたらす 潜在的な経済効果のレポート

こうして複数ソースの情報を要点別にまとめることで、そこから共通項を見出し大きなトレンドや方向性を仮説立てすることができるようになりました。

今まではこうした情報ソースをひたすら自分で読んでいたので、その時間が大幅に短縮されました。

▼実際の出力例

2. SQLの作成補助や修正

ハウテレビジョンでは、PdMやマーケ部など職種や部門を問わずSQLを作成してデータ分析を行っております。

SQLを書く時間もかなり短縮されました。

該当のテーブルとカラム情報と抽出条件を伝えることでSQL文を生成してくれるので、1から書く必要がなくなりました。

また、自分で作成したSQL文のレビューや、既に作成しているクエリの一部を修正したい場合も自分の手を動かすことが極端に少なくなりました。ChatGPT凄い。

3.簡単なコーディング(非エンジニアでもできるよ)

弊社で導入しているAPI を呼び出す bot形式ではテキストデータしかinputができず、最初に説明した資料の要約において、PDFファイル形式だと対応できない課題がありました。

個人でgpt4を利用すればファイル読み取りはできるのですが、社内データを使う以上リスクもあるため、現状の形式でできる方法を模索しました。

そこで、Google Colab上でpythonを用いてPDFファイルから文章を取り出すコードをChatGPT APIと一緒に作りました。※ほぼ全部提案してもらったんですが笑

▼プロンプト例

Google Cloud Vision APIを用いてPDFファイルのテキストを出力する実装をpythonを用いてGoogle Colab上で行いたいです。
必要な手順とサンプルコードを教えて下さい。

▼ChatGPT APIに教えてもらい、実装した内容

  1. GCS上に対象のPDFファイルを事前にアップロード
  2. Google Cloud Vision APIを用いて該当のPDFファイルのテキスト検出を行う
  3. 結果をJSONファイルとしてGCSに保存
  4. 保存されたJSONファイルをダウンロードし、その内容からテキストデータをGoogle Colab上に出力

社内のエンジニアとペアプロ形式でやりましたが、1hもかからずに実装ができ感動しました。

4.プロダクト施策のブレストや壁打ち

まずブレストですが、サービスの概要や高めたい指標などを事前にインプットした上で、例えば10個施策を出してもらうと、1つか2つは自分では思いつかなかった施策案などが出てきました。

そこからピックアップした施策案を詳しく教えてもらう中で壁打ちを行うことができました。

具体的には類似のソリューションを提供している海外のサービスと詳細を教えてもらったりすると、自分の中で「自社のプロダクトだとこういうアプローチや価値提供ができるんじゃないか」と思いつき、それをChatGPTにぶつけ、実現方法などを議論し、ブラッシュアップしていくようなイメージです。

まだ精度が高くない部分や上手く活用できなかったこと

私のプロンプトがイケてない可能性もありますが、紹介していきます。

  • 明確な情報ソースが無いor少ないものに対する問いへの回答

例えばアジアの学生の人数を教えてくださいなどだと、ズバッと答えてくれません。

アジア各国の学生の人数が試算できる情報ソースをそれぞれ明示してくださいなどと聞くと参考になる情報元を教えてくれたりはしますが、精度もイマイチなケースが多いです。

  • 抽象度の高い問いや将来の予測など

仮説がある場合は一定壁打ちはできますが、仮説が無い状態だとその切り口が正しいのか、情報元含めて信頼性があるのかを確認する必要があるので、逆に手間がかかったりしました。

こうしたら良くできるよなどあれば是非教えていただきたいです。

  • ユーザーヒアリングのサマライズ

実際にサマライズはしてくれるのですが、個人的にはサマライズされたものを通して上手くインサイトを掴むことができませんでした。

N=1を深ぼるユーザーヒアリングの特性上、サマライズされなかった情報の中に重要な情報が含まれていることも多く、加えて話しの間やテンションなど非言語情報も重要な要素であり、そうした非言語情報を無視してサマライズすることは相性が悪いのではないかと個人的に結論づけました。

時間をかけても自分が参加したり、他の方が参加した際の議事の原文を読んでインサイトを掴むことは重要だなと感じました。

最後に

プロンプトの作り方もまだまだ素人レベルの私ですら、一部の業務では感動するレベルで生産性が高まっています。

加えて、ChatGPT APIを通して色々と試してみる行為自体が、個人的には実験をしているような感覚でとても楽しいです。